堺市獣医師会主催のオンライン講習会が終了しました。

令和3年12月5日(日)午後から当会主催の親子参加型オンライン講習会を開催しました。今回は大阪市立自然史博物館外来研究員・友の会会長の鍋島靖信先生に『大阪湾の生き物たちのいま・むかし~温暖化による海と生物の変化~』というタイトルでお話をいただきました。大阪湾は栄養に恵まれた素晴らしい漁場であること、その大阪湾の生態系が温暖化によって変わってきていることなど、貴重なデータをもとに、たくさんの写真と、先生がお描きになった素晴らしいイラストとともに、とても丁寧にわかりやすくお話をいただきました。温暖化による大阪湾の環境悪化を防ぐため、私たちが普段の生活でどのように気を付ければいいのか、とても考えさせられる講習会となりました。ご講演頂いた鍋島先生はじめ、ご参加いただいた皆様にはこころより感謝申し上げます。

鍋島先生からのコメントです

要旨

近年、大阪湾の海洋生物に大きな変化がみられます。1977年に大阪府立水産試験場に着任以来、大阪湾の生物や特異な現象を調査した記録から、大阪湾での過去と現在の生物の変化について紹介します。水温は1980年代に低く、1994年以降に上昇が顕著になりました。特に秋~冬の水温上昇が著しく、これが生物に大きな影響を及ぼしています。瀬戸内海には冬の低水温に強い生物が多産し、暖水を好む生物が夏~秋に漁獲されましたが、これらの漁獲量に大きな変化がみられます。イカナゴ、マコガレイなどの冷水性種の漁獲は激減し、ハモなどの暖水性種が増加し、ヒョウモンダコなど強い毒をもつ生物が出現し、ミナミハンドウイルカが6年も住み続けるなど、過去の大阪湾に見られなかった生物が増加しています。こうした大阪湾の生物についてお話したいと思います。

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